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2019-02-27

#01 コーヒー好きのおじいちゃん | 吉田恭二郎さん

錦林学区には6歳から住んでる。今84歳やから、もうう70年以上になるな。仕事で静岡や名古屋に住んだこともあるけど、それ以外はずっと京都。家も子どもの頃から何にも変わってへん。僕らが住む前から建ってるから、築100年以上になるんちゃうかな。昔の家やから、風呂はないよ。だから川の向こうの桜湯に行ってる。

このへんに住むことになったのは、親父さんが僕を医者にならせたかったかららしい。錦林小、一中(現在の洛北高校)、京大と進ませたかったみたい。でも親父が死んで、丁稚奉公に行くことになった。4年間行ったけど、最後は喧嘩して辞めて。そのあと仕事はいろいろ変わったけど、ドライバーは50年以上やった。最初はタクシードライバーをして、体力的にきついからどうしようかと思っていた時、たまたま声をかけてもらって会社の社長さんの専属ドライバーになった。定年まで12〜13年働いたかな。

毎日だいたいどこかへ出かけてるな。仕事をしているわけちゃうけど、朝10時ごろに家出たら19時くらいまで帰らへん。探究心が強いんやろな。伏見の大手筋商店街、嵐山、亀山とか、京都市内とその近郊のことはだいたいわかる。

別に目的はあらへんけど、何か見に行くことが多いな。どこへ行くかは決めずに足の赴くまま。家を出る時、嫁さんに「今日はどこ行くん?」って聞かれるけど「知らん。靴の先に聞け」てゆうてる。伏見に行こうと思っても、気分が変わったら電車を乗り換えて山科へ行くこともあるし。最近は100均が好きでよく行ってる。100均へ行くと、半日は楽しめるな。

歩くのが好きやから、定年後は「京都らくらく会」に参加してお世話係してる。月1回のウォーキングイベントを、もう130回くらい続けてるな。コースの下見をすることもある。昔の歴史も、僕が習ったんと変わってることもあるから。学校でなろたことは、間違いじゃないけど、研究が進むうちに変わってしまうやろ。


だから暇やったら、宮司さんや住職さんに歴史について話を聞く。西暦何年に何が起こったなんてことは、看板にも書いてあるから、それ以外のことを聞きたいねん。教科書にも載ってへん、地元の伝説を聞いた方がおもしろいやん。でも最近は、年寄りが外に出てへんから、話を聞けへんくなったな。昔は、上賀茂へ行ったらお母ちゃんらがすぐき漬けの作業してる様子も見えたし、話しかけるといろいろ教えてくれたけど、今は機械ですることも多くなったしな。そういう地元の人の話がおもしろいと思うんやけどな。

 

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